狛江市民センター改修等基本方針

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Latest Update:2020.8.22
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狛江市民センター改修等基本方針
2020年8月 狛江市
<おことわり>
・原文はすべて和暦(元号使用)で表記されており、文中の西暦表示は、2か所を除いて すべて市民の会による付記です。
1. はじめに
狛江市は、2012年(平成24年)11月に、2013年度(平成25年度)から2019年度(平成31・令和元年度)までを計画期間とする狛江市公共施設整備計画を策定しました。計画では、個別施設の整備計画の内容、規模、時期、費用等を見直し、効率的かつ効果的な公共サービスの提供に向けて実効性のある整備プログラムとしました。この計画の中で狛江市民センター(以下「市民センター」という。〉については、限られたスペースの中で部屋の配置等を検討し、2015年度(平成27年度)に耐震改修を決めた改修工事を行うこととしました。
 
その後、「3. これまでの経過」にあるとおり、教育委員会において横討委員会を設置し改修案を桟討したものの計画を凍結し、「市民センターを考える市民の会(以下「市民の会」という。)」発足および「狛江市民センター(中央公民館・中央図書館)増改築に関する市民提案書」の提出を受け、市において提案書をもとに改築・増築等のパターンごとに整備費用や将来必要な費用を明らかにして実現可能性の調査を実施し、2020年(令和2年)2月に広く市民の意見を伺うため市民アンケートを実施しました。
 
市民センターは、老朽化が激しく、これまで根本的な改修を行っていないため、早急な対応が必要となっていますが、その一方で充実を求める声もあります。市はこれまでの経過を踏まえ、市民の会の提案のほか広く市民の意見を参考にするとともに、市の財政状況および今後の財政見通しのほか、人生100年時代を見据えて、市民センターだけではなく、市全体の施設利用の観点を踏まえた、市民センターの改修等に向けた基本方針をまとめました。
2. 市民センターについて
市民センターは、狛江市民の自主的学習、文化活動を育み、連帯感に支えられた豊かなまちづくりに資するために設置した市の施設です。
 
  (名称)  狛江市民センター
  (施設構成)狛江市立中央公民館・狛江市立中央図書館
  (所在地) 狛江市和泉本町一丁目1番5号(狛江市役所敷地内)
  (開館年月)1977年(昭和52年)11月
  (施設規模)公民館 1,591㎡
        図書館 1,707㎡
        共用部 1,394㎡ 合計 3,692㎡
3. これまでの経過
 
年月・発議者
内 容
2012年(平成24年)11月
【狛江市】
「狛江市公共施設整備計画」を策定。
市民センターは、限られたスペースの中で部屋の配置等を検討し2015年度(平成27年度)に耐震改修を含めた改修工事を行うことを計画。
2013年(平成25年)5月
【公民館・図書館再生
 市民プロジェクト】
(※1参照)
「公民館・図書館の充実を求める要望書」市長、教育長に提出。
2015年度(平成27年度)の市民センターの耐震改修時に、現施設を高層化(増改築〉して十分なスペースを確保し、中央公民館と中央図書館の拡充をはかることを要望。
2013年(平成25年)11月
【狛江市教育委員会】
(検討期間:2013年11月~
 2014年2月)
「狛江市民センター改修検討委員会(以下「検討委員会」という。)」を設置。
耐震改修工事と同時に老朽化している給排水設備等の更新と施設の間取り等の改修も同時に行い、限られたスペースの中で部屋の配置等の横討を行うため検討委員会を設置
市職員と市民参加の観点から、図書館協議会委員3名、公民館運営審議会委員3名により行政・施設利用者の視点から様々な検討を行った。
2013年(平成25年)11月~12月
【公民館・図書館再生
 市民プロジェクト】
「耐震補強のみならず、狛江市民センター(中央公民館・中央図書舘)の充実と、増床を視野に入れた改築の検討を求める陳情」を市議会に提出し、市議会で採択される。
2013年(平成25年)12月
【公民館・図書館再生
 市民プロジェクト】
「市民センター増改築の検討に際しての要望書」を市長、教育委員会委員長、教育部長、狛江市議会議長、総務文教常任委員会委員長へ提出。
現在行われている耐震診断の基準と方法および結果について、専門家(診断実施者)による説明や増床のために技術的に可能な増改築の案の費用概算を含めて市民に対して提示するなどの市民説明会を開催することを要望。
2014年(平成26年)2月
【狛江市教育委員会】
「狛江市民センター改修工事の考え方について」市民説明会を実施。
  ・改修工事の考え方
  ・耐震診断結果および補強案
  ・増築および改修のための技術的な検討と費用概算
  .財政フレーム
2014年(平成26年)3月
【狛江市教育委員会】
市民説明会で出された意見や要望について検討委員会において検討を行ったが、満場一致には至らず、最終報告書に留意点を付したうえで教育長に報告。
2014年(平成26年)4月
【狛江市教育委員会】
検討委員会の最終報告書に付された留意点に対して、教育委員会は、2014年度(平成26年度)に行う実施設計において可能な限り反映するという考え方を示した。
2014年(平成26年)4月
【公民館・図書館再生
 市民プロジェクト】
「市民センター(中央公民館・中央図書館)の増改築を市民と共に考えることを求める要望書」を市長、教育委員会委員長に提出。
市民センターの改修計画について、市民と行政と専門家が共に増改築を考えることを要望し、実施設計(間取り変更など)の即時凍結を強く要望。
2014年(平成26年)5月
【公民館・図書館再生
 市民プロジェクト】
「狛江市民センター(中央公民館・中央図書館)の実施設計の一時中止と、増築の検討を求める陳情」を市議会に提出。
市民公開のもと、コンペやプロポーザルを行い、計画の見直しと増築の検討を要望。
2014年(平成26年)6月
【狛江市】
2014年(平成26年)狛江市議会第2回定例会で改修工事に係る実施設計の手続を一時止めることを(高橋都彦)市長が表明。
2014年(平成26年)6月
【公民館・図書館再生
 市民プロジェクト】
「狛江市民センター(中央公民館・中央図書館〉の実施設計の一時中止と、増築の検討を求める陳情」の取り下げ申出書を市議会に提出。
2014年(平成26年)8月
【狛江市教育委員会】
「狛江市民センター改修市民説明会」を実施。 説明会での改修内容を最終案とはせず、市民から意見を伺う揚を設けることやアンケート等により市民の意見を伺いながら、まとめていくこととする。耐震補強を除く改修工事の実施設計を見送る。
2015年(平成27年)2月
【市民の会】
「市民センターを考える市民の会」発足(※1参照)
2016年(平成28年)4月
【市民の会】
市民の会が「狛江市民センター(中央公民館・中央図書館)増改築に関する市民提案書」を提出。(※2参照)
2016年(平成28年)9月~
2017年(平成29年)5月
【狛江市】
市民センター増改築等調査委託契約を締結。
日建設計コンストラクション・マネジメント株式会社に調査を委託。
市民の会により作成された市民提案書をもとに改築・増築等のパターンごとに整備費用や将来必要な費用を明らかにして実現の可能性を調査。(市民センター増改築等調査委託調査報告書〉
2020年(令和2年)2月~3月
【狛江市】
狛江市民センター(中央公民館・中央図書館〉に関する市民アンケートの実施。
(2020年(令和2年)5月結果報告〉
 
※1 公民館・図書館再生市民プロジェクト・市民センターを考える市民の会
「公民館・図書館再生市民プロジェクト」は、公民館や図書館に係わってきた市民20数人が、どのような公民館・図書館がふさわしいかを専門家を招いて学習会をするなどし、広く市民と手をたずさえて市と市議会に働きかけを行うため2013年(平成25年)1月に発足した団体です。
「市民センターを考える市民の会」は、市民の自主的かつ主体的な組織として、市政に市民の意見を反映させ、市民と行政の協働のまちづくりを推進することを目的として2015年(平成27年)2月に発足した団体です。改修案作成にあたっては市と「市民センター改修計画案作成に関する協定書」を締結しました。狛江のまちの現状を共有しながら、公民館や図書館の役割をしっかりと捉え、誰にとっても使いやすい市民センターの実現を目指し、1年以上をかけて提案書としてまとめました。
※2 狛江市民センター(中央公民館・中央図書館〉増改築に関する市民提案書の概要
この提案書は、全体会や世話人会をはじめ、公民館・図書館・公共施設・財政の4つの分科会における学習会や意見交換、ワークショッブ、公民館・図書館利用者アンケート、市職員も参加した市の計画や財政に閲する勉強会、他市の施設見学会等を行い、そこで出された意見や提案等を反映させ、まとめたものです。
(提案書の構成)
第1部 市民センターの現状と増改築のコンセプト
市民センターを建物の更新だけではなく、市民生活の実態を踏まえたまちづくりの問題として捉える必要があり、そのコンセプ卜として「SMALL is COOL (小さいまちの良さを生かして〉」を掲げています。
第2部 新市民センターの具体的提案
誰もが自由に利用できる「公民館コミュ二ティスペース」を新設・配置し、その中心として市民センタ一入口付近に広くて明るいエントランスホールを設けることを提案しています。中央公民館については、スペース、機能等の拡充の他、公民館事業の運営等に関する提案、中央図書館については、蔵書規模の拡大、スペースの拡充、IT環境の整備、誰もが使いやすい図書館に向けた提案等がされています。その他、増改築等に係る財政シミュレーションや財源創出のアイデア等の財政に関する提案、他の公共施設との連携や空きスペースの活用等についての提案もされています。
第3部 狛江の市民力・市民協働の未来を見すえて
市民の会の取り組みによる経験と教訓を新たな市民協働として生かしていくことの重要性や、今後の進め方について市民参画で行うこと等が提案されています。
4. 市民センター改修等にあたっての基本的な考え方
 
(1)財政負担の抑制
高齢化の進展や保育園の待機児対策などにより社会保障費が年々増加し、2018年度(平成30年度)決算では10年前と比較して55億円から107億円へと大幅に増額するなど、市の財政負担が大きくなっています。2025年には団塊の世代が後期高齢者になり介護や医療などの社会保障費の急増が懸念されています。また、2040年には現役世代1.5人で1人の高齢者を支える時代となり、先を見据えた財政運営を行わなければなりません。そのような中で、現在の市の財政状況は一時期に比べると改善しているものの、依然として地方債残高が多く、また、公債費負担比率も高い状況にあります。将来世代に大きな負担を残さないためにも、現在においては出来るだけ地方債(借金〉を発行しない財政運営をしながらも、今後の更なる社会保障費の増加や学校施設の更新時期に向けて基金(貯金)を増やしていかなければなりません。(注釈:赤字の2か所のみ、原文でも西暦表記)
 
市民アンケートにおいても、整備プランの選定理由として「市の財政的な負担(お金)が軽く済むから」が最も多くなっており、また、自由意見においても、財政負担の抑制について多くの意見をいただきました。
 
これらのことから、市の財政状況および中長期的な視点での財政負担も考慮した上で整備することとします。
(2)公民館機能および図書館機能の充実
市民の会からの提案では、中央公民館については、スペース、機能等の拡充のほか、公民館事業の運営等に関する提案、中央図書館については、蔵書規模の拡大、スペースの拡充、IT環境の整備、誰もが使いやすい図書館に向けた提案等がされています。
 
市民アンケートでは中央公民館は、「利用したことがない、またはほとんどない」と回答しだ割合は高くなっていますが、その一方で、「さらに充実させてほしい」という回答も多くなっています。中央図書館についても、「さらに充実させてほしい」という回答が多く、その理由として蔵書の増や読書スペースを広くしてほしいという回答が多くなっています。また、自由意見では、図書館の充実を求める意見を最も多くいただきました。
 
市民アンケートの整備プランでは「老朽化対応」に次いで「改築」が多くなっており、その選定理由として「公民館が充実するから」「図書館が充実するから」が多くなっています。しかしながら、前述のとおり市の財政負担を考慮すると既存施設の耐用年数が残っているにも関わらず、新たに建て替える(改築する)ことはできません。また、市民の会の提案を踏まえた既存施設の上への縦増築については、相当量の補強工事がl必要であり、改築と同程度の整備費用になります。そのため、市民センターは老朽化対応および内部のリノベーションを基本としながらも、市民センターだけではなく、市全体の施設利用の観点から総合的に判断し、それぞれの機能の充実を図れるよう整備します。
 
公民館については、市民の会から「人がつながる公民館」を提案されており、公民館事業および団体が利用しやすい空間となるよう利用者の意見を踏まえたうえでリノペーションを行います。また、公民館の利用状況を見ると、各室において一定の利用枠の稼働率はあるものの、利用枠内の時間を使い切ってない状況にあるため、より効率的に利用されるよう、利用時間帯等の設定なども含めて検討します。
 
図書館については、近年では電子図書が普及し、中央図書館でも電子図書の貸出しを始めたところです。市全体の図書サービスのあり方を整理した上で、ハード・ソフトの両面において必要な機能を検討し、限られたスペースの中で機能的で利用しやすい新しい図書館を整備します。
(3)人生100年時代に向けた生涯学習と市民活動の連携
健康長寿を背景とする人生100年時代に向けて、ライフステージに応じた多様な生涯学習の場が必要です。100年という長い期間をより充実したものとするためには、生涯にわたる学習や地域コミュ二ティ活動などに積極的にかかわることも、個人の人生を豊かにするものです。様々な団体の活動の場や市民と団体の交流の場づくり、団体間の連携や支援などを通じて、市民の自主的な活動を支援することにより、生涯学習および市民活動の充実を図ります。
 
そのため、市民センターに公民館機能に加えて、市民活動を支援するための機能(市民活動支援センター)を持たせ、同一施設内で運営することで、生涯学習と市民活動の相互連携、相乗効果が生まれることも期待できます。市内には社会教育関係団体だけではなく、それ以外の市民団体も主体的に活動していますが、市民センターがそれぞれの活動の機会の提供だけではなく、支援、情報発信を行うことにより、新たに参加する人や団体を増やレ、人生100年時代の様々なライフステージに応じた多様な生涯学習や市民活動の拠点となる施設を目指します。
(4)将来に向けて
本方針による市民センターの改修後、施設を定期的にメンテナンスすることにより今後20年は使用できるようになります。また、同敷地内にある市役所と市民センターは同時期に整備しているため、将来的には市役所と市民センターを一体的に建て替えることにより、人口減少や人口構造、社会状況の変化も含め、その時代に合った市役所との複合機能を有した施設として整備できるようになります。
5. 市民センター改修等案
(1)市民センター(整備費 11.2億円)
老朽化対応工事
図書館機能を縮小し、商工会等用地に新図書館整備
公民館スペースのリノベーション
市民活動支援センターを高架下施設から移転
(2)新図書館(整備費 5.5億円)
商工会および駄倉地区センターを解体
新図書館整備
(3)商工会等(整備費 5.5億円)
商工会は高架下施設に移転
駄倉地区センターおよび小学生クラブは閉所
※駄倉地区センターおよび小学生クラブは閉所
施設の規模
 
6. 今後の進め方
(1)スケジュール(予定)
(2)市民説明会
本基本方針を市として決定した後、市民説明会を開催します。
(3)市民説明会
老朽化対応工事は、設備等の老朽化の状況に応じて市で改修案を検討しますが、必要な機能やスペースについては、公民館事業及び団体が利用しやすい空間となるようリノベーションするためワークショップにより利用者の意見を集約し、構想案を検討します。
(4)新図書館整備構想検討委員会(仮称)の設置
新図書館整備に向けて、新図書館整備構想検討委員会(仮称)を設置し、市全体の図書サービスのあり方を整理し、限られたスペースの中で機能的で利用しやすい図書館を整備します。
(5)休館中の対応
工事期間の中央公民館の休館中については、西河原公民館や地域センターの利用をお願いします。中央図書館の休館中については、予約貸出しサービスを行い、地域センター等で予約図書の貸出・返却ができるよう検討します。また、貸出・返却業務だけではなく、ブックスタート・セカンドブック・サードブック事業や高齢者施設への配本等の各種事業についても実施できるよう検討します。
(6)駄倉小学生クラブ閉所への対応
駄倉小学生クラブは2023年度(令和5年度)末までで閉所の予定としています。学童クラブ施設整備計画では2023年度(令和5年度)では待機児が解消される見込みとなっていますが、駄倉小学生クラブ閉所の影響や需要見込みを踏まえて、狛江市待機児対策推進本部において検討します。
「狛江市民センター改修等基本方針」おわり