掲載日:2018.07.11
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狛江市長選挙立候補予定者に
公開アンケート を実施しました。
2018年7月15日告示、同7月22日投開票の狛江市長選挙に際し、市民センターを考える市民の会では、立候補予定者に下記内容の公開アンケートを実施いたしました。2人の立候補予定者から、いずれも2018年7月10日(火)に下記のとおりご回答をいただきましたので、文字表記およびかな遣いなども原文のまま掲載いたします。(掲載は回答受取順)
2018年7月7日
狛江市長選に立候補された方にお尋ねしたいこと
私たち「市民センターを考える市民の会」は、『狛江市民センター(中央公民館・中央図書館)増改築に関する市民提案書』(以下、「市民提案書」と呼称)をまとめ、その実現に向けて取り組みを続けています。
今回、市長選挙がおこなわれるにあたり、候補者の皆様に、以下の点につきまして、お考えをお聞かせいただきたいと考えています。よろしくお願いいたします。
いただきましたご回答は、本会の会員への会報およびホームページ上にて紹介させていただく予定です。お忙しいところ恐縮ですが、7月11日(水)までにご回答いただければ幸いです。
(1)市民センターの現状と増改築の方向について
市民センターの老朽化・狭隘化解消は待ったなしの課題であり、市民アンケートでも最も関心の高い項目となっています。
現在の市民センターの状況および、増改築の方向について、どのようにお考えでしょうか(「
市民提案書」および
ダイジェスト版 についてもご参照ください。)
(2)建築方法の一つとして「市民の会案」(
CLT縦増築案)を正式に検討・検証することについて
増改築の建築方法が一つの焦点となっています。市が委託して提出されたNCM(日建設計コンストラクション・マネジメント株式会社)の提案では、新築案、縦増築案、横増築案、分散案、小面積案の5つの案がまとめられていますが、市民の会では、これらの案は課題が多いことから、「CLT縦増築案」(CLT: Cross Laminated Timberの略、「直交集成板」とも呼ばれ、国土交通省及び林野庁が使用を推奨しています)を提案しています。この提案は、より低コスト、短工期、省資源で「市民提案書」が提案した内容を実現できる方法として優れたものと考えています。また、この提案は、市議会でも複数の議員からとりあげられたところです。建築関係法令をクリアすることが大前提ですが、狛江市として正式に「市民の会案」の可能性について検討・検証してもらいたいと要望しています。この提案についてどのようにお考えでしょうか。
(3)市民センター増改築における市民協働について
「市民提案書」では、建物やスペースの問題だけでなく、「市民協働」のまちづくり事業として、市民と専門家と行政が一緒になって進めていくプロセスこそが重要と指摘しています。今後の市民説明会やアンケート調査をふくめ、市民協働のすすめかたについて、どのようにお考えでしょうか。
(4)狛江市の社会教育行政の現状とこれからの方向について
狛江市の社会教育の現状と今後の方向について、お考えのことがあればお聞かせください。
松原としお候補
(1)市民センターの現状と増改築の方向について
・市民センターの現状につきましては、まず施設面では老朽化により外壁や給排水設備の劣化も進んでおり、またバリアフリー化が未対応であることだと認識しております。
・また機能面では、公民館においては施設面での課題に起因する活動場所の物理的な不足、さらには多様な活動を支えるための設備不足だと認識しております。
・図書館においては、絶対的な蔵書・資料の不足、特に地域・郷土の資料の充足が必須だと考えております。さらに、電子資料やデジタル資料などネットワーク社会に対応した新たな図書館機能の整備も不可欠だと考えています。
・増改築につきましては、隣接する市役所本庁舎も市民センターとほぼ時を同じくして建築されております。市民センターの老朽化対応は喫緊の課題であると認識しておりますが、一方で市民提案書の冒頭にも掲げられております、「狛江市の中心部『市役所エリア』のまちづくりとして考える」必要性を痛感しております。
・公民館と図書館の連携は言うまでもなく、それに加えて市民活動支援センター、さらには市役所を、市民の自主的な活動を保障する場という視点で捉えて、再構築していくことが必要だと考えています。
(2)建築方法の一つとして「市民の会案」(CLT縦増築案)を正式に検討・検証することについて
・市の調査報告を見る限り、CLTパネル工法を用いた建築を否定しているものではないと考えています。ただ、木造の増築部分を現在の市民センターの上に乗せた場合、現行の建築基準法や技術的な課題等をクリアするためには、相当量の補強工事が必要であるという結果が示されております。
・公共施設は、市民をはじめとする多くの利用者の方々に安全に、安心して利用していただく必要がありますので、CLT縦増築案については、より詳細なエビデンスの積上げが必要だと考えております。
(3)市民センター増改築における市民協働について
・市民提案書で示されている「狛江市の中心部『市役所エリア』のまちづくり」は、すなわち市民参加・市民協働の拠点整備をすることに他ならないと考えております
・そのためには、市民センターを考える市民の会の皆さんと行政が共に確認した到達点をベースとして、さらに現状の利用者だけではなく、将来世代も含めた幅広い市民の考えを伺ったうえで、増改築の方向性を決定していく必要があると考えております。
(4)狛江市の社会教育行政の現状とこれからの方向について
・市民の学習要求は地域文化を高める重要な要素であり、まちづくりの最大のパワーでもあると認識しております。
・これまで市民の皆さんの自主的な学習活動を支援するために、行政としては、活動の場の一定の保障は行ってきましたが、さらに活性化するためには、社会教育団体に対する支援と情報発信・情報提供が不可欠であると考えています。
・学習活動と市民活動を有機的に結びつけ、地域住民の参加を促し、地域の力を引き出す仕組みを作ることが、今後の社会教育に課せられた最大の目標と考えております。
以上
田中とも子候補
(1)市民センターの現状と増改築の方向について
<蔵書が少なく座席も少ない中央図書館>
現在の市民センターは、築後41年が経過し老朽化が著しく、中央図書館も中央公民館も、あまりに手狭で利用者の要求に応えきれていないのが現状です。中央図書館は、そのスペースの狭さから開架図書も蔵書も少なく、利用者がゆっくり読書等を楽しむスペースも、あまりに少ない状況です。また「パソコンを利用したい」「CD、DVD、ビデオなど音や映像の資料がほしい」「学習室がほしい」などの要望にも応え切れていません。多摩地域の同規模市と比較しても、蔵書数、座席数など狛江市は最低レベルとなっています。
<利用者が多く部屋の確保が大変な中央公民館>
中央公民館は市民の学びや交流の場としてさまざまな活動に利用され年間10万人もの利用者が訪れています。しかし現状は部屋数が少なく、市民団体が活動するための部屋を確保するのも大変です。「団体利用が中心なため気軽に立ち寄れる場所になっていない」「自主グループへの支援が不足し新しいグループが生まれにくい」などの課題も指摘されています。また社会教育専門職員の退職等により社会教育施設としての役割も後退してきています。そして3年前の3月に市役所駐車場が有料化されたことにより、荷物の多いグループの活動や足腰が弱い高齢者等の活動に支障が出てきています。
私は、これらの現状を打開するためには、どうしても市民センターを増改築して、広いスペースを確保するとともに、専門職の採用など職員体制も充実させて、ソフトの面でも充実させていく必要があると考えています。
<中央図書館はゆったりと読書を楽しめるよう、増改築で3.6倍の広さに>
中央図書館については、「市民センターを考える市民の会」の提案書にもあるように、スペースを現状の3.6倍程度に拡大し、蔵書を大幅に増やすとともに、開架スペースを拡大し、目の前で読みたい本を探すことができ、ゆったりとしたスペースの中で、読書を楽しみ、調べものもできる滞在型の図書館を実現したいと思います。またCD,DVDなどの視聴覚資料の充実や、持ち込みパソコンの利用も含めたIT環境の整備、子ども達や若者、高齢者、障がい者、外国人などだれもが使いやすい図書館になるようにします。
<コミュニティ・スペースの提案は大歓迎。公民館は部屋数を増やし利用しやすく>
中央公民館については、提案書にあるように、市民センターの増改築によりスペースを現状の1.6倍に拡大し、活動できる部屋を増やすとともに設備の充実も図り、講演会はじめ様々なグループ活動に利用しやすくします。青少年がバンド活動などに利用できる防音スタジオや子どものための居場所となるスペースや無料で利用できる学習室などを確保します。
とくに目玉として提案されている、一人でもお金を使わずとも気軽に過ごし、何らかの情報にも触れる機会となる空間(場所)として、また、人と人がつながりコミュニティを育む「コミュニティ・スペース」新設はとても大切だと思います。
社会教育施設としての中央公民館の役割を発揮できるよう、公民館運営審議会の充実をはじめ、公民館運営に市民の意見が直接反映するしくみをつくります。こうした市民の視点での公民館運営、公民事業を支えるとともに、人と人、グループ同士、地域などの交流機会をふやす活動を支援するため専門職員を配置します。
<若者や利用したことない市民も気軽に立ち寄れる市民センターに>
「若者」「利用したことのない市民」への利用拡大についても考えていく必要があります。だれもが気軽に立ち寄れて、明るく、楽しく、使いやすい市民センターにするために、さらに市民のみなさんのアイデアを募りながらすすめます。たとえば、カフェコーナーを設置すること、ときには就労支援の場などとしても活用できるようにするといったアイデアもあります。いつも利用している人も、あまり利用したとのない人も含め、公共施設・社会教育施設であることもふまえ、より便利で、楽しくワクワクする市民センターにしていきたいと思っています。
特にトイレは、車いすの方や目の不自由の方など、また性別に関係なく使いやすい「だれでもトイレ」の設置をはじめ、関係者のみなさんから意見を聞きながら「日本一使いやすいトイレ」が設置できるよう、研究していきます。
<公民館利用者の駐車料金を3時間まで無料に>
有料化された市役所駐車場については、公民館利用者から「駐車料金の負担が重い」という声が寄せられており、3時間まで無料とする軽減制度をつくります。また活動する部屋の利用料金についても負担が重いという声もあります。利用料の軽減にむけた市民的な意見交換を開始します。
<増改築のための基金をつみたて早期実現へ>
市民センターの増改築には、一定の予算措置が必要となりますが、増改築のための基金の積み立てなど行うことで、新たな借金を極力抑えて、後年度の負担の軽減に配慮しながら早期実施にふみきりたいと思います。
私は、議員として市議会の質問で繰り返し取り上げ(2013年5月から2018年3月まで本会議で14回、委員会をふくめると19回以上)、行政主導ではなく市民の声がしっかり生かされた市民センター増改築となるよう求めてきました。
全体として「市民の会」の提案書の内容が、最大限生かされるようとりくんでまいります。
(2)建築方法の一つとして「市民の会案」(CLT縦増築案)を正式に検討・検証することについて
<CLT縦増築案を真剣に検討・検証しとりいれていく>
「市民の会」が提案している木造CLT縦増築案は、建築期間も短く、断熱性に優れ省エネ効果が高く、軽量で耐震性も優れていると言われ、耐火性についても、国等の研究で十分な対策がとられており、また耐久性についても40年から60年を目指せるとのことです。すでに戸建て住宅はもちろん、学校や共同住宅、ホテルの客室等、大きな建物にも広く使われてきています。
「市民の会」の提案では、専門家の知見を得て、CLT工法で市民センターを縦方向に増築することで、建築費用も市の新築案の約半分の20億円ででき、工期も市の新築案の31ヶ月を10ヶ月に短縮できると指摘しています。
この提案が実際に可能なものであれば、市民の理解も得やすく、早期着工が可能となります。
私は、この「市民の会」提案の木造CLT縦増築案の可能性を、真剣に検討・検証し、とりいれていきたいと思います。
(3)市民センター増改築における市民協働について
<市民、行政、専門家が一緒になってすすめる>
これまで「市民センターを考える市民の会」では幅広い市民や専門家とともに、市民が望む狛江らしい市民センター-中央図書館・公民館はどうあるべきか検討を重ねてこられました。そしてこの間、行政との意見交換も行いながら、「人がつながる公民館、暮らしを豊かにする図書館」という市民センターの増改築に関する夢のある提案書をまとめられました。
私は、この流れを大切にして、「市民の会」のみなさんはじめ、幅広い市民、専門家、行政が一緒になって、市民センター増改築の方針を定めていけるようにしていきたいと思います。そして何よりも、市民文化・市民活動の拠点である中央図書館・公民館を充実してほしいという市民の願いを大切にしていきたいと思います。
(4)狛江市の社会教育行政の現状とこれからの方向について
図書館も公民館も大切な社会教育施設です。
社会教育法では「国及び地方公共団体は…すべての国民があらゆる機会、あらゆる場所を利用して、自ら実際生活に即する文化的教養を高め得るような環境を醸成するように努めなければならない」と定め「都道府県及び市町村の教育委員会の事務局に、社会教育主事を置く」と定めています。また、狛江市の「市民憲章」(1975年制定)では、「5.教養を高め、文化が芽生え育つまちをつくります。」とあります。社会教育施設は狛江市民の教養と住民自治を育む大切なものです。
たとえば「ハラスメントのないまち」「差別のないまち」、年齢や性別、国籍、障がいの有無等にかかわらず、すべての市民が自分らしく生きられるまちを本当につくろうと思えば、市はもちろんのこと、市民一人ひとりが、みずから学び、意見の違う人とも話し合い、納得することによって、これまでの考えかたにとらわれず、変わっていくことも必要ではないでしょうか。社会教育は、そうした市民自身の取り組みを援助する役割を担うものであり、いっそう充実していく必要があります。
図書館や公民館が社会教育施設としてその役割を発揮するためには、それぞれの分野に専門的な知識をもつ専門職員が不可欠です。
私は、図書館においては司書職員を増やすよう努力します。また公民館においては退職に伴う公民館主事の欠員を補充するとともに、法律で義務づけられている社会教育主事を配置し、狛江市の社会教育事業が市民の多様な活動と連携しながら、豊かに発展するようすすめていきます。またこれら社会教育にかかわる事業を教育委員会が所管することも重要と考えます。