掲載日:2017.07.23
「市民センター増改築等調査委託調査報告書」に対して
狛江市に質問書を提出しました。
2017年6月12日(月)に「市民センター増改築等調査委託調査報告書」を行政より受け取りました。内容を検討した結果、「市民提案書」の主旨と異なる点が多かったので、7月10日(月)に質問書を提出しました。以下に全文を掲載いたします。
「市民センター増改築等調査委託調査報告書」に対する質問書
平成29年5月31日付けで、日建設計コンストラクション・マネジメント株式会社(以下、NCMという)が、狛江市に提出した標記報告書(以下、単に「報告書」という)について、6月23日に、高橋企画財政部長ほか関係職員による概要説明の機会を設けていただいたことに謝意を表します。
しかしながら、報告書は、私たちが提出した「市民提案書」の主旨とかなり異なる内容が多く、速やかに質問や確認しておきたい点や納得のいかない点が相当あるというのが率直な印象です。
「市民提案書」の基本コンセプトは、すべての市民に開かれた憩いの場、交流の場、学びの場としての施設を作ること、そのためのコミュニティースペースの拡充、さらに、アクセスを容易にした市民広場の整備です。ところが、報告書は、市民提案書の理念の実現を目指したものとは受け取れません。また、提案書の資料編のアンケート結果も反映されていないようです。単なる面積合わせに終始しているように見えますが、いかがでしょう。
特に、私たちが最善と考える鉄骨ラーメン構造とCLT(クロス・ラミネーテッド・ティンバー)を構造材として活用する木造の縦増築案についての検討がなされなかったのではないかと懸念しています。この案では、増築中の閉館期間もほとんどなく、市民にとって利用の中断が少ないというのも利点です。
市では議会や市民説明のために、報告書の概要版を作成すると伺っていますが、このままの内容で報告書が独り歩きするようなことなれば、軌道修正は単純ではなく、困難を伴うことを危惧します。今思えば、NCMの調査中間段階で、行政、NCMと市民の会による意見交換の機会を設けなかったことは、残念と言わざるを得ません。
議会説明が始まる前に、下記の点について、NCMにも同席いただき、確認と説明の機会を速やかに設けていただくようお願いいたします。
なお、ご回答は、7月20日までにいただきたく存じます。
1.②-2案 <既存改修+縦増築>は、木造を検証したとはいえ、市民の会提案とは似ても似つかぬものであり、再検討が必要と思われます。
報告書では、基礎分の本格的補強もあり、工期も最長、経費も最大となっており、このままであれば、縦増築案の選択の可能性はないも同然でしょう。
市民の会が提案した木造の増築部の鉄骨ラーメン構造とCLTを構造材として活用する案について、NCMは真剣に検討していただけたのでしょうか。NCMにはCLTベースの比較案も提示していただきたかった。CLTを取り上げなかった理由についての説明を求めます。CLTを活用すれば、RCより大幅な軽量化ができ、既存の基礎部分に報告書のような本格的な補強策を施さなくても縦増築の可能性があるのではないかという根拠も、私たちは提出しています。
この案実現のためには、市民センター既設部分の強度や耐久・耐震性の確認が不可欠であり、診断のため経費見積もりの提示も必要ですが、私たちは、前述の確認ができれば、工期も経費も大幅に削減でき、かつ、工事も段階的に取組むことによって、施設の閉館も短期間となる可能性も充分あると期待しています。
基礎部分について、強度診断もなく、これほどの本格的な補強工事をしなければいけないと判断した理由も説明していただきたい。
2. ①案の改築案や他の案においても、RCのみならず、木造の場合との比較検討案の併記もあってもよかったと思います。
特に、①案については、RC案とCLT活用を考慮した案との比較がなく、さらに、補助金利用による経費削減の可能性の調査もされていないのは報告不備であり、追加報告を求めるべきと考えます。
3. ③案<既存改修+別棟増築+別施設活用+別敷地改築案>と④案<既存改修+別施設活用+横増築>については、ハード(スペースや部屋配置など)優先で、これからの市民センターのあり方を見据えて、市民の居場所としての魅力や利用度を増すといった観点が不充分です。
私たちは、コミュニティースペースの確保や市民の居場所としてのゆったり感は、必須と提案書でも強調していますが、報告書には充分に反映されているとは思われません。特に、③案および④案は、提案書にある必要スペースを1400㎡以上も大幅に下回っています。更に③案は、公民館機能の分断をもたらすものであり、本来の市民ニーズの取り違いがあるのではないかと大いに危惧しています。
また、これら2つの案にある食堂については、市役所内の既存の食堂の流用(?)のようでもあり、どのような位置付けとなるのか説明を求めます。
さらに④案は、大幅にスペースが少なくなる市民広場の環境悪化、機能低下や駐輪場スペースの削減も市民が納得できるか疑問です。現行のさまざまな行事の開催も不可能になる可能性が大です。
4.利用実績分析の不備
④案で施設利用状況分析に使われたデータとして、公民館各室の使用状況の分析結果が、かなりのページ数を使って記載されていますが、公民館利用の特性(月別や平日と週末別の利用傾向の違い、多人数複数開催の必要度、人数以上に広い面積を要する活動(例えばダンス、音楽活動等)に対する配慮がないだけでなく、市が毎年度継続して実施している市民意識調査(市民アンケート)の結果がまったく反映されていないのは、おかしくはありませんか。
また、私たちは公民館利用者・図書館利用者向けアンケートの結果を出しています。市としても、情報はNCMに提供すべきでした。図書館と公民館に対しては、改善を求める市民意見が上位を占めていますが、前述の「3.」項の指摘とも関連しています。
図書館についても、広い年代層を対象とした滞在型を目指した市民提案の理念に沿ったものとはいえないようです。
以上、狛江市の目指す将来像を考慮し、市民センター利用の増大を目指した案の再検証をお願いしたい。
5.国交省、林野庁、環境省やCLT協会との勉強会/ワークショップの開催
(2017年)6月23日の概要説明会でも述べましたが、国は、「公共建築物等における木材の促進に関する法律」を平成22年10月に施行しました。しかし、報告書には、木造建築案もありながら、この法律の内容や補助金制度については、何の説明もないのは納得できません。6~7ページの主な法改正履歴と既存不適格項目のリストにも、この法律の記載はありません。改めて説明を求めます。
行政と市民の会共同で、主管官庁の林野庁とCLT協会に来訪を要請して、最新の状況についての勉強会を提案します。この法律は、市民センターのみならず、今後の狛江市の学校など公共建築物の建て替えの際の参考とすべきです。技術的な指導制度もあります。市民の会から先方へのお願いでもよければ、それでも結構です。
更に、この法律を活用するためには、「市町村木材利用方針」の策定が必要ですが、狛江市は、まだ策定していません。ちなみに、平成29年4月末現在、36道府県の全市町村が、この方針を100%策定済み。東京都は全国最低の19%の実施率ですが、すでに港区など4区と日野市など3市が先行して策定済みです(林野庁HPから)。
6. 今後の協働の進め方について
私たちは、よりよい市民センター増改築を行政と市民がいっしょになって実現させるため引き続き提案していきたいと考えており、次のことを確認しておきたいと思います。
・説明会/ワークショップを市民の会との共催で複数回開催すること。
・アンケート作成にあたっては、市民の会のインプットを取り入れること。
・その場合、報告書の5つの案のみからの選択を市民に求めるといった進め方ではなく、他のオプションをも考慮すること。
このような形式で、今後の市民協働を進めていくことについて、行政のコミットメントはどの程度であるのかという点についてお尋ねしたいと考えます。
以上、報告書の中でも、特に懸念される項目についてまずお伝えすべきと考え、議会説明の前に本質問書を提出することにしました。速やかに、NCM出席のもとで、ご回答いただくよう申し入れます。
ほかにもお尋ねしたい事項はありますが、本質問書へのご回答を得た上で、後日、整理してお伝えすることにしますので、よろしくお願いいたします。
以上