◆ 市民の会について
(代表ごあいさつ)
市民センターを考える市民の会
代表 平井里美
本日はお寒い中 「市民センター増改築案発表会」 にお越しいただき、ありがとうございます。
まず初めに、市民センターを考える市民の会の発足と目的についてお話しします。
「市民の会」は、昨年2月に市と協定を結んで発足した、市民の自主的、かつ主体的な組織です。全国でも非常に珍しい、進歩的な市民の会で、「狛江市にふさわしい市民センター改修案を、市民が主体的に作成し、その実現をはかること」を目的としています。そしてもう一つの目的は、「市政に市民の意見を反映させ、市民と行政の協働のまちづくりを推進すること」です。
私たちはこの1年間、学習を重ねながら要望を出し合い、中間発表会やワークショップショップ、アンケートなどで、できるだけ多くの市民の方のご意見を聞き、増改築の提案をまとめているところです。
次に、どのようなメンバーがどんな活動をしているのか、少しお話ししたいと思います。
市民の会では、メールやファックスなどで、1月に2、3回ニュースを送っています。登録いただいているメンバーは220名。実際に会の運営にあたっている世話人は27名という大所帯です。純粋な市民の会ですから、立場や考え方は様々です。
納得いくまで対話をして進めるので、大変時間がかかりますし、もめたり、時には険悪になったりするのは、当たり前のことです。それでも、全員無償、それどころか、お金を出し合って、チラシを作ったり、講師を呼んだり・・・先日、ここ半年間のスケジュールを確認したところ、2日に1回以上どこかで何らかの会合があることに驚いてしまいました。
お互い何の利害関係もなく、ただこの市民センターを、公民館と図書館をいいものにして残したいという思いで、市民が全力を注いでいること。そしてそれを、市の職員の皆さんが、資料の印刷や会場の確保、広報誌への情報掲載など、オブザーバーとして 支え続けてくださっていること。こんなことができる狛江は、本当にすばらしいまちだと誇りに思います。
最後に、今日の発表会の位置付けについてです。
1年前、市民の会の立上げで講演してくださった上野千鶴子さんをはじめ、専門家の方々、研究者の方、社会福祉協議会の職員の方、文化財委員の方々、そして職員の皆さんにも、たくさんのアドバイスや励ましをいただき、やっと提案の概要をパワーポイントにまとめることができました。
本日は「市民の会の全体会」としてそれを発表させていただきます。そして、本日参加してくださった皆さんからのご意見をいただき、それを提案書に反映させて最終のまとめとし、3月末に文書で提案書を市に提出する予定です。その旨どうかご了承ください。そして、今後ともよろしくお願いいたします。
◆ 狛江市からのごあいさつ
狛江市 企画財政部長
高橋良典さん
本日は、「市民センター増改築案発表会」ということで、みなさまの発表を聞かせていただきに参りました。市の職員として私以外にも数名、この発表を聞かせていただきます。
代表の平井里美さんからもお話がありましたように、昨年2月に市と市民センターを考える市民の会で協定書を結びました。市民の会のみなさまにおかれましては、この一年の間、各分科会でのご検討など、お忙しい中、市民センターについて考えていただきまして、誠にありがとうございます。
協定書にもありますように、3月に提案を出していただきます。市としましては、その提案を受けて、今度は市としての最終計画を策定していくことになります。市民の会のみなさまにおかれましては、提案を出して終わりということではなく、そのあと市として最終案を考えて行く上でも、ご協力をいただければと考えているところでございます。
市の課題は市民センターだけではございません。今の大きな課題としては、保育園の待機児問題があります。また、高齢化についても課題が多く存在しています。市としても限られた財源の中で、どのような形で、みなさまからの提案を尊重した計画ができるか、考えていかなければいけないと思っておりますので、きょうの発表を楽しみに参りました。
これが最後ということではなく、引き続き、市民の会、市民のみなさまと一緒に協力して進めて行ければと考えているところでございます。
◆ SMALL is COOL
世話人 篠塚雄一郎
東京大学 大学院生 深町知貴
東京大学 大学院生 伊奈ゆう子
「SMALL is COOL」については、(2015年)9月19日に開催しました
中間報告会 で、市民センターをどうするのかという基本的な考え方やコンセプトをお話しさせていただきました。
狛江がどういうまちなのかも考え、海外の事例などの話もしましたので、この部分については、きょうは簡単に触れます。
その後、
10月 と
12月 に市民のみなさんにお集まりいただいて、ワークショップを2回開催し、こんな建物にしたいとか、やってみたいことなどを話し合いました。そうした内容も含めて、基本的な考え方をまとめたのが、「SMALL is COOL」 です。きょうは、一緒に活動してくれたふたりの大学院生が説明します。
ここでは、(1)狛江の分析、(2)ワークショップのまとめ、そしてそこから導き出された(3)コンセプトについてお話しします。
広域的な狛江の立地
狛江は小田急線等で新宿、渋谷まで25分程度と通勤利便性の高いまちです。 都心に程近くありながら、多摩川や野川に囲まれ、狛江駅前には弁天池があるなど水と緑に恵まれた暮らしやすいまちです。
駅周辺に公共施設が点在
狛江駅周辺には公共施設や公共用地が点在しています。 駅周辺の割には緑も点在しています。 公共施設は歩いて回れる場所にありますが、必ずしも有効に利用出来ていません。(300m圏内に集まっている。)
市民センター改修を機にこれらの有効利用策も検討すべきと考えます。
ヒューマンファーストのまち(人に優しい)
20世紀のモータリゼーションに対応し、都市づくりは自動車交通を優先してきました。 東京西部も例外ではなく多車線道路、歩道橋が多く存在します。
狛江市は市域が小さいこともありますが、大気汚染、騒音、振動の原因でもある4車線以上の道路が実質ありません。道路による地域分断の象徴である歩道橋もありません。
多車線道路がないにも関わらず、道路率は比較的高くなっており、たくさんの道が張り巡らされており、歩いて移動しやすいまちと言えます。つまり、狛江は、ヒューマンファーストな(人に優しい)まちです。
顔が見えるまち
2車線の道路は反対側の歩道を歩く人を認識することが可能です。 知り合いがいたら大きな声を出せば、呼び止められます。 4車線以上の道路ではよほど目の良い人でないと、反対側の歩道を歩く人を認識することができません。 仮に認識できたとしても、呼び止めることは出来ません。呼び止める気にもならないでしょう。
私たちの住む狛江は広い歩道を有し、Face to Face のコミュニケーションが取れるまちです。
狛江の強みと弱み
私たちが住む狛江は、都心からも便利な場所にありながら、多摩川をはじめとする水と緑に恵まれた暮らしやすい環境にあります。 一方で、若者が集まるような場所がなく、他のまちに比べても、賑わいなどの面で魅力に欠けます。
強み:小さくまとまった暮らしやすいまち
・市域中心にある狛江駅周辺に公共施設が集積。
・小さく平坦な移動しやすいまち。
・駅周辺にも緑地が点在している。
・適切な規模の道路が整っている。
弱み:魅力的な場所が少ない
・商業施設なども含めて駅周辺の集積が弱い。
・賑わい面など若者目線からすると魅力が低い。
・駅前空間は機能的に出来ているが、人が憩い集う場所がない。
・地元に居場所がない。
ここまでは、
中間報告会 (2015年9月19日開催)で発表した内容です。
その後、
10月31日 と
12月5日 にワークショップを開催しました。 小学生からご高齢の方まで幅広くお集まりいただき、どんな市民センターにしたいかについて、自由に意見を出していただきました。 下記に列挙してありますとおり、たくさんの意見を大きく3つに分類しました。
そして、それら3つの意見について、次の1から3で細かく紹介していますので、ご参照ください。
ここからは、提案の全体に関するコンセプトをご紹介します。
SMALL is COOL というコンセプトは、今後の狛江のまちづくりのキーワードです。 先ほどの狛江の分析で、狛江は小さくまとまっていると言いました。こういうまちだからこそ、できることがあると思います。
具体的には、駅から市民センターまで歩いて行ける。 市民センターをみんなで作っていける。 SMALL is COOL のまちづくりで、市民センターは重要な拠点になると考えています。
下記のスケッチは、これまでのワークショップを踏まえた新しい市民センターのイメージです。 大きく3つに分類された意見を、「ひらく」 「わかちあう」 「つなぐ」 という言葉に置き換えて、それぞれの内容を具体的に提案しています。
◆ 人がつながる公民館
しゅうとう みわこ
世話人 周東三和子
世話人 青木香奈
ここからは市民センターをかたち作っている公民館・図書館の提案です。
公民館は、私たちが健康で活き活きと暮らす学びの場、憩いの場、交流の場です。 あらゆる人が生きていくために必要な学びをずっと続けられるための教育機関です。
生活に根ざした学びができるよう市町村が設置しています。 暮らしや地域の課題を自分たちで考え解決していく。 公民館で学んだり、活動する中で、生まれる人とのつながりが身近な問題に向き会う力になる。そんな場です。
人が地域で幸せに生きて行くことを支える、公民館はまちの元気につながるところです。
公民館の利用登録団体は約750です。 中央公民館の年間の延べ利用者数は約10万人です。
多くの利用者がいる公民館ですが、利用していても公民館の役割を知らないひとも多い状態です。
問題点はとしては、
・部屋が取りにくい
・新しいグループが生まれにくい
・居心地のいいスペースが少ない
・青少年の居場所が不十分
・市民同士の交流や市民参加の機会が少ない
・生活課題の解決につながる学習が不十分
などがあり、背景には、いま公民館に来ていない人、来られない人へのアプローチが不足していることや、
利用者が自分たちの場所として、もっといいものにしていこうというつながりが不足していることなどが考えられます。
公民館の現状を打開し、くらしや地域の課題を解決していく、そういう市民にとってのセンターになるよう、人がつながる公民館を提案します。
施設と仕組みの二つに分けて提案します。施設の提案からです。
今回新しく提案するのは「みんなに開放された空間、コミュニティスペース」です。ここは市民ひろばからつながる、図書館とも共用の市民センターの入口のスペースです。一人でふらっと来ても、グループの打合せにも、時には配置を替えてミニコンサートなどのイベントも行えるような空間です。ちょっと一息つける喫茶コーナーも提案します。
また公民館事業の案内、サークルの情報、地域センターでの催しなど、ここに来れば必要な情報が得られるコーナー、活動の成果を展示するコーナーも考えました。郷土資料室の資料の展示なども行える場です。人と人がつながる、人と活動がつながる場です。
同じく新たに提案するのが、赤ちゃんコーナー、授乳室、幼児コーナーです。子育て中の方たちが子連れで来ても安心して過ごせるコーナーです。子どもたちの居場所は現在2階ロビーと地下にフリースペースがありますが、もっと広く確保します。
また、主に青少年のための楽器を自由に使える防音室を新設します。 学習自習室は図書館とも共用するスペースです。ひとりで静かに勉強できる部屋とグループでわいわい学習できる部屋と2つ作ることを提案します。
職員と市民がもっと気軽に話したり、相談に乗ってもらえるように事務室はオープンカウンターにしたらよいと考えます。
現在あるものの拡充の提案です。多くの市民が音楽会や演劇、講演会などで利用できるよう、ホールを拡充します。現状のホールは壇があるだけですが、舞台をきちんと作り、控え室や舞台裏の通路などで、演劇や演奏会などが出来るようにすることを提案します。舞台、控え室は使わないときは、会議にも使えると考えます。
また、ダンスなど利用の要望も多いので、それにふさわしい床にし、鏡の設置なども提案します。
公民館の大きな役割である学習の機会を保障するための部屋を充実させます。
講座室は、もう少し広くし、プロジェクターや音響設備の常設など充実を図ります。
また、部屋がとりにくいとの意見が多く寄せられています。公民館の活動がさらに活発にできるようにするため、現在4つある会議室を2部屋増やし、会議だけでなく、多目的に使えるよう提案します。
専用室を柔軟に利用できるようにします。和室は2部屋にわけても、大部屋でも利用できるようにします。料理実習室は調理台とテーブルを分けて、調理の後で試食会が出来るようにし、調理をしないときは会議室としても使えるようにします。美術室と工芸室を作り、イーゼルを立てられる部屋と陶芸などの部屋とし、窯は別室にして、使いやすくします。視聴覚室は現在も音楽の他にバレエ、カラオケなど多目的に使われていますので、床を替えて、より使いやすくします。
公民館を利用しているグループの交流の場として団体活動室を拡張します。印刷室は別室にして、より使いやすくします。またこれまでの活動を蓄積した公民館活動資料室を新設して、経験、成果を生かせるようにします。
保育室は現在子ども室と呼ばれていますが、公民館の講座に参加する親が安心して学ぶことが出来るように、また子どもたちの育ちが保障されるための部屋です。 子どもたちが過ごしやすいよう環境を整備します。
施設だけでは、公民館とは言えません。 くらしや地域の課題を解決するためには、職員と市民の協力が欠かせません。
公民館の要は、事業や講座です。 例えば、公民館に馴染みのない人たちや若者へアプローチする講座、今の社会の問題に向き合う講座が必要です。
そのためには、地域とのネットワークと、運営への市民参加が重要です。 そして、広く市民に知らせる広報、例えば双方向のツールとなるホームページや利用者懇談会の充実。 地域の情報センターとして、図書館との連携も大切です。
こういうトータルな取り組みが公民館を生きたものにします。
自分の「好き」を大事に、健康で生きがいを。学びが暮らしに役立ち、豊かに生きる。自由に思ったことを言い合える場と関わり。いつでも、誰でも、ひとりでも。多様な価値観に出会い、お互いを大事にし合う。 自分自身を大事に生きる。
こんな公民館が必要だと思います。
「わたしの楽校(がっこう)・みんなの茶の間」
これまで分科会やワークショップで公民館について議論を重ねて来た中で、私たちが求めたいのは、「学ぶのが楽しくなる、気軽に立ち寄り、おしゃべりができる。」 そんな、開かれた公民館です。
◆ 暮らしを豊かにする図書館
世話人 林 健彦
とまべち まりこ
世話人 苫米地茉莉子
新しい図書館についての提案をいたします。私たちは 「暮らしを豊かにする図書館」 をめざし、それは 「だれにとっても利用しやすい図書館」 を探る中で見えてくると考えています。
最初に「狛江の図書館の現状と問題点」を見てみましょう。
2007年の市民アンケートでは、狛江の図書館は市内の公共施設の中でもっとも利用が多い施設です。 しかし残念なことに、次の4つの問題点を抱えています。
第1は 「スペースが狭い」ことです、私たちの会が昨年(2015年)7月に実施した「利用者アンケート」の自由回答では「ゆったり座って読んだり調べたりするスペースがない」が数多くありました。ベビーカーや車いすを利用するのが困難との声も聞
かれました。
第2は 「本・雑誌等資料の種類も量も少ない」 ことです。開架の図書、つまり直接手にとって探せる書棚も少ないし、音楽や映像を楽しむ資料もありません。
第3は、情報化時代にもかかわらず、IT環境が整っていないということです。現在備え付けのパソコンで自由にネットを利用することができませんし、パソコンの持ち込みは認められるようになりましたが、WiFi設備がありません。
第4は、きめ細かい図書館サービスが十分ではありません。子どもから高齢者まで世代に応じたサービス、障がい者や外国人といった図書館利用が困難な方へのサービスも十分とはいえません。
このグラフは、狛江と同規模の多摩地域8市の図書館データを比較したもので、黄色の棒グラフは市全体の人口当たりの図書冊数、青色部分は資料費(図書費)を表し、赤い折れ線グラフは中央図書館の床面積を示しています。8市平均と比べると、狛江市の図書館が 「狭い」 「図書が少ない」 ことが裏付けられています。
次のグラフは、利用者アンケートで、現在の図書館の施設、資料、サービスの満足度を尋ねたものです。
このグラフは各項目について満足度を5段階評価で表したもので、真ん中の青い線、3が「普通」で、点数が低いほど満足度が低い。赤い部分がもっとも低く、不満は施設・設備と資料(本・雑誌)の種類・量に集中しており、ここでも「狭い」、「資料が少ない」が明白です。一番上の 「職員の対応」 は相対的に評価が高いことが分かります。
次に図書館の役割、めざすものを見てみましょう。
図書館は、図書の館と書くくらいで、最も重要な役割は 「資料・情報を提供して、ひとりひとりが自分で判断する力を育てる、
サポートする」 ことです。それが民主主義を支えることにつながります。お手元の資料、憲法の精神に基づいて図書館が 「文化面で社会保障をになう場」 といわれるゆえんです。言い換えると 「いつでも、どこに住んでいても、だれでも気軽に利用できる市民のための本棚」 を提供することです。
近年は 「地域の情報拠点」 ともいわれ、暮らしや仕事、地域の課題解決に役立つ情報の提供も強調されています。
最近の狛江市の人口動態を見ると、65歳以上の高齢人口が増え続けている一方、15歳以下の年少人口も増えており、今後は高齢者の居場所および子育て世代のニーズへの対応が重要と考えられます。
以上を踏まえ私たちは、ワクワクする図書館を提案します。それはサービス、職員、施設の3つの要素から成り立っています。次にそれぞれを見ていきます。
図書館サービスの提案の第1は、「明るく居心地のいい空間」、第2は「本・雑誌・DVD・CDの充実」です。
第3について少し説明しますと、「子どもからシニアまで多くの世代に対応し、さらに障がいのある方や外国籍市民にまで配慮した誰にとっても使いやすい図書館をめざします」。
例えば、子ども室やティーンズ・コーナーの独立、医療・健康、体力づくりなどをメインにしたシニア・コーナーの新設、障がいのある方に対してハード・ソフト両面で使いやすいよう配慮する。 今ある外国語図書(英語・中国語・韓国語)を独立させ、日本(文化)を紹介する本も加えた 「異文化交流コーナー」 を設け、お互いの交流をはかるといったことも考えられます。
第4は「調べもの等のきめ細やかなサポート」です。
「調べもののお手伝い(レファレンス)」 は貸出ほど知られていませんが、役に立つサービスです。気軽に相談できる窓口を設け、暮らしや仕事の疑問、悩みを資料面で応援する体制を整えることがだいじだと考えます。
第5は 「インターネット環境の整備」 です。
第6は「狛江の特色を活かした情報発信」です。図書館は地域文化を育て、情報発信する場といわれます。狛江の昔と今、未来について、例えば水と緑のまちにちなんで、多摩川や狛江ブランド (農業) 等を関係機関、市民グループとの連携、協働によってイベント、特集展示を行うといったことが考えられます。
第7は 「積極的な図書館活動 」で、新しい利用者を掘り起こすために必要です。
例えば、生活時間にあった運営ということで開館時間、開館日数の見直しです。また出前サービスの一つの宅配サービスに力を入れる、来館困難になる高齢者の増加が見込まれますので、もっと条件を緩和する、それにより職員の対応ではとてもということなら宅配ボランティアの養成を行うことも考えていいのではないでしょうか。
第8は 「利用者懇談会の開催やボランテイアの充実」です。
第9は 「地域センター等の図書室を分館」にです。 地域センター図書室は当初分館としてスタート、途中から運営市民協議会が運営する今の形になりました。現在は正午からの開館で、子育て世代に好評のお話し会を開いていない図書室も
あります。どこに住んでいても等しいサービスが受けられる本来の図書館サービスからはいかがなものかと考えられ、いきさつはありますが分館に戻すべきだと考えます。 それまでの間は、今以上にバックアップを強化する。 また市内小・中学校にある学校図書館の支援もより強化が必要と考えます。 さらには他の自治体の図書館との相互協力も大事です。
第10は 「本の廃棄・保存の在り方の見直し」です。
次は職員です。1と2で示された職員が、利用者(市民)の立場に立って、利用者(市民)ニーズに寄り添った運営を行っていただきたいと考えます。そのためには専門性を磨く機会が必要で、研修の機会、業務や経験の継続、蓄積が保障されることが大切だと考えます。
最後は、施設の提案です。
第1は 「さまざまなタイプの読書スペース(コーナー)を随所に」 です。例えば 閲覧机、仕切りのある机、書架脇のスツール、ソファのあるくつろぎコーナー等をあちこちに設け、利用者が目的や好みに応じて選べるようにする、今回の提案の目玉です。
第2は 「車いすに対応した通路、書棚」
第3は 「独立した子どものスペース」です。
第4は 「ゆったりした新聞・雑誌コーナー」
第5は 「CD・DVDの試聴ブース」です。
第6 「防音設備のある録音室と対面朗読室」について説明します。 対面朗読というのは目の不自由な利用者が、求める資料を朗読ボランティアに読んでもらうことで、地下の普通の部屋を他と共用で使用している現状では、何を読んでいるか漏れる恐れがあり、またボランティアの自宅録音では生活音が入る等問題があり、利用者や朗読ボランティアの方から強い要望が寄せられています。
必要なスペース(床面積)を計算するには、収容能力=資料規模が重要で、資料(開架)数で開架スペース、書庫スペースが決まり、ついで全体の面積が決まります。 現在凍結中の15年前の新中央館基本計画書、同規模他市のデータ比較等から蔵書冊数、開架冊数を表のように設定しました。資料は、現状の2.1倍、全体の面積は2.4倍となります。
新しい図書館の提案は以上です。
◆ 新しい市民センターの特色
しげくに たけし
世話人 重国 毅
ここでは、市民センター全体にかかわることなど、市民の会で話し合ってきた諸々(もろもろ)のことをご紹介します。
まず、郷土資料室です。市民センターの地下にありますが、物置と言ってしまうと悪いのですが、うまく活用できていません。古墳時代の和泉式土器など貴重なものもあり、有効活用は今後の課題だと考えています。
約40年前の市民センター建設議論の際には、公民館・図書館・博物館が入った施設を造ろうという「3館構想」もあったそうですが、博物館部分については現在の郷土資料室となり、十分な役割が発揮できているとは言えません。市民の会として文化財関係の専門家にお話をお聞きした際に、貴重な文化財をしっかり所蔵して活用できるようにしたいということで、問題提起がありました。
それは、所蔵場所を市民センターの中にさらに増設するのは難しいとしても、当面、市民センター内に「展示スペース」を確保しつつ、別の場所に所蔵場所を確保すること。また、同じような機能を持った「むいから民家園」などとの連携も含め、収蔵・活用を図ること。そして、博物館の新設についても、5年後の市制50周年にともなう狛江市史編纂事業とも併せて、記念事業として整備できないかということです。市民の会としても、そうした内容を提案したいと思います。
次に、新しい市民センターのスペースについて、すでに公民館と図書館の紹介がありましたが、ここで数値的にまとめておきます。公民館・図書館の現状と提案は、それぞれ右の表のとおりで、新たに2,500㎡程度広くできれば、今の狛江に足りない部分を確保できるのではないかと考えています。なお、この面積には、倉庫・トイレ・階段などの共有部分は含んでいません。
建物の造り方については、現状の建物を基礎にしつつ、横に拡げることや3階建てにすることなども含めて、市民の会でもさまざまに議論してきましたが、可能な構造や予算、近隣住民との関係もありますので、絶対にこういう形でないといけないということではなく、必要な機能や面積をしめすということで考えています。
増改築にあたっては、高齢者や障がいのある方々を含め、だれもが使いやすい「ユニバーサルデザイン」であるとともに、「私たちがつくる水と緑のまち狛江」のシンボル的なものともなるよう「エコ」な市民センターとすることを提案したいと考えています。これは、中長期的に考えて、冷暖房費の節約にもなります。
その一つが地下湧水の活用で、市民センター地下には月に7,000m3(立法メートル)以上という、それなりの量の水が出ているとされています。専門家に伺ったところでは、水力発電に活用するには水量が少ない
(※)ようですが、地下水で水温が安定しており、冷暖房に利用できる可能性があることなども分かってきました。
※ この発表会(2016年2月6日開催)後に、市民センター地下の湧水量は、上記の数値よりずっと大きいことが判明しました。 したがって、水量が少なくて無理だと考えていた水力発電についても、引き続きその可能性を探っていく予定です。
そのほか、太陽熱を利用するソーラーウォールや、蛍光灯を減らせるよう外の光を取り入れる光ダクトなどの活用を含めたエネルギー消費の少ない建物(ZEB=ゼロエネルギービル)をめざして、さらに研究していきたいと考えています。
狛江と友好都市関係にある(山梨県)小菅村の木材などで、ぬくもりのある市民センターになればとも考えています。
また、社会教育施設である公民館・図書館の入っている施設として、環境に配慮した仕組みが分かるような工夫や、環境学習のコーナー、多摩川の生き物が見られる水槽、親水スペースの設置なども提案したいと思います。
次に、他の施設との連携についてです。
今の市民センターは、部屋が足りなくて、思うように予約できずに困っています。その際、よく言われるのが、地域センター・地区センターなどとの連携です。現在の別々な運営形態のもとでは簡単ではない面もあるかと思いますが、部屋や施設の利用に融通が利くようなしくみができればと考えています。
連携では、ソフト面も大切です。新設された市民活動支援センターは愛称も決まったようですが、公的な組織・施設として、市民の暮らしを支え、豊かにしていくという役割などで、市民センターとの連携の可能性も大いにあると考えます。協働を進めていければと思っています。
さらに、スペースの有効利用としては、市役所などの公共施設の会議室はもとより、突飛な発想かもしれませんが、市議会の議場なども市民活動に開放して、たとえば議場で映画鑑賞会などが開催できるようにするといったことなども可能にしてほしいと考えています。また、民間の空き家・空きビル・空き室の活用も検討できるのではないかと思いますし、これらは、市民センターの改築工事期間の対応としても、有効だと考えます。
最後に、公共施設について学習・議論をおこなうなかで、若者や高齢者、子育て中の市民などが、もっと気軽に交流し、さまざまな悩みごとを相談できる場所・窓口が、身近で公的な場にあればよいのにという要望も出されています。市民センターですべてができるものではありませんが、市民センター増改築、他の公的施設・機能との連携などのなかで、こうした要望をかなえることもできればと思います。
◆ 市民センター増改築に必要な財源についての考え方
世話人 小尾将彦
狛江市の財政がどん底で、財政破たん寸前だった平成17年度から平成26年度までの10年間の財政状況の推移と変化について、主な指標や数値と多摩26市の順位をまとめてみたのが、右の表です (クリックすると拡大します)。 平成26年度は、狛江市の財政にとって、再建に向けて節目となるような年であったといえそうです。
*13年振りの経常収支の黒字化・・・ まず、代表的な財政指標である経常収支比率が、平成13年度以来、13年ぶりに黒字になりました。100を越えると赤字、100を切ると黒字ですが、平成26年度は、98.2%で、2.5億円の黒字でした。
平成17年度は、10.9億円の赤字でしたから、平成26年度との経常収支の改善額は、13.4億円でした。 家計のやり繰りと同じで、13年ぶりに黒字になったのです。多摩26市での順位も最下位の26位から18位になりました。
*市民税の徴収率の大幅改善・・・ 平成26年度の徴収率は98.1%で、平成17年度の92.5%より5.6ポイント改善。 多摩順位も24位から3位になりました。 市民の協力もありましたが、市側の努力も相当あったはずです。徴収率の改善で5~6億円の増収になっています。
*市債残高の減少⇒公債費の減少・・・ 市債残高が減少につれて、公債費(借金の返済額)も減少しました。平成26年度には、10年ぶりに25億円の壁を破って、23.7億円となりました。 公債費は、今後も減少し、平成30年度には、20億円を割る見通しです。 25億円から20億円となれば、5億円の新しい財源の創出ということになります。
*ただし、課題はある・・・ 狛江市の積立基金(=貯金)は、まだ充分ではなく、多摩順位もまだ26位 (最下位)のままであるのは課題です。
以上、課題はあるものの、「狛江市の財政は悪い」 と言われ続けてきましたが、平成26年度あたりを境にして、改善方向に向かっていると言えるのではないかと思います。
*市債残高は減ってきた・・・ 右のグラフ (クリックすると拡大します) を見ていただければ、253億円のピークから、だんだん借金は減ってきて、平成30年度には、200億円台を割って196.5億円になる見通しです。
*赤字債も減少・・・ 平成13年度から急増し、平成23年度には108億円になった赤字債も、平成26年度の116.7億円をピークに減少に転じる見込みです。ピークからわずか4年で110億円台を割り込む見通しです。
*公債費も減少・・・ 長く続いた25億円の公債費も、平成28年度には、20億円を下回る見込みです。
このように、市債残高=借金も減少し、借金の返済である公債費も減少してきますので、財政運営の柔軟性が今後増加する見込みです。
このように、狛江市の財政は、「悪い状況」 から脱却してきているということを数字をベースに説明してきました。 狛江市が平成24年11月から導入した 「中期財政計画と財政規律ガイドライン」 が、適切に策定され、ガイドラインに従って運営されてきたことが、有効に機能してきたと思っています。
その主な内容は:
*毎年見直し (ローリング)
*市債発行の抑制(特に赤字債)
*3年後までの財政見通しの明示
*(平成27年度版は平成30年度まで見通す)
*公債費の (借金の返済) の減少
*余剰金の1/2以上を積立基金に
以上ですが、特に3年後までの財政見通しは、市の方向性を明らかにしており、財政が着実に健全化に向けて動いていることが見えてきます。
市側も平成27年度のローリング版で、市の財政が好転することを想定して、平成30年度以降は、市民ニーズに応えるために、財政規律を見直す予定である旨を述べています。 これにはまったく同感であり、いつまでも財政規律にこだわる必要はなく、財政基盤や抵抗力が備わってきたら、公共施設の整備等も検討すべきだと思います。
平成30年度までの中期計画に基づく市債残高と公債費の推移を、右の2つのグラフの青い棒グラフで示しています。(クリックすると拡大します。) 平成27年度に新たに30億円の追加市債の発行をした場合の市債残高 (左側グラフの茶色部分) と借金の返済である公債費 (右側グラフの茶色部分) を試算したものです。
*市債残高への影響・・・ 借金は確かに30億円増えますので、平成27年度の市債総額は236.6億円になり、平成19年度あたりまで逆戻りします。確かに借金が増えることは,いいことではありませんが、それが、ただちに財政に大きな影響が出てくるということではありません。
*公債費への影響・・・ 影響があるのは、市債の借金増の返済分が、どれだけ負担増になるかということです。そこで、3年据置、25年償還、年利率1%という前提で試算してみますと、償還が始まる平成30年度は、元利合わせて1.5億円の上乗せということになります。 それまでの市債分も合算すると、21.5億円となりますが、平成27年度の公債費22.2億円よりは、少ないレベルに収まります。 わずか3年後戻りするだけです。 多分経常黒字も維持できるのではないでしょうか。
*年利1%のレベル・・・ 至近の市債の利率は、0.6%となっていますので、そのレベルよりは高目に見ています。 最近マイナス金利という制度が導入されましたが、今後、金利は更に低くなるかもしれません。
30億円の追加起債をしても、その分の借金の返済の増加分としての公債費は、1.5億円であることが検証できましたが、借金は少ないほうがいいことに間違いなく、新たな財源の創出のために、次の4つのアイデアを提案します。
*市民センター増改築基金の設立・・・ 決算で余剰金が出た場合は、その一部をこの特定基金に積み増していくことです。中学校給食センターや岩戸地域センターなど他の公共施設の場合は、公共施設整備基金に事前に積み立てて充当し、借金の額を抑えました。
*ふるさと納税制度の活用・・・ 確定申告して納税する場合、納税分の使途を 「市民センター増改築基金」 に指定して、市民としても協力していただくことです。目標額は5,000万円としました。もちろん一般募金も募集します。
*国や都の補助金の最大活用・・・ 例えば、建物がエコ関連の設備を備える場合は、国の補助制度の活用が期待できそうです。
*資源物集団回収の推進を市民協働で・・・ あまり知られていませんが、資源物の集団回収を町会や集団住宅や20世帯の市民団体で、市が指定する集団回収業者に実施してもらえれば、その団体にキロ当たり10円の報奨金が市から出されます。私の属する町会は、10年前から実施しています。 なお、集団回収といっても、資源物を市と同様に、戸別回収をしてくれる業者もいます。 更に、市による回収費用や、ビン缶センターでの選別作業などもなくなりますので、市の資源物回収経費に比べて経費は、約1/3になります。現在、市内の約1/4の地域で実施されており、毎年約3,000万円の経費節減の成果が出ています。 実施地域を1/2の地域まで拡大すれば、毎年5,000万円以上の経費削減が実現しますので、市民協働で目標を定めて、積極的に拡大することを提案します。
以上のように、借金が少なくなってくると、借金の返済も少なくなってきていますので、新たな借金をしても、財政の抵抗力が相当増してきています。これまでとは状況が違ってきていることを検証してみました。確かに保育園待機児童など、まだ問題はたくさんありますが、中期計画では、そういった課題は当然想定して、財政の見通しに織り込んで策定していると理解しています。
なお、30億円の市債追加を選んだ根拠は、2つあります。 まず、10億円、20億円の追加起債を試算しても、あまり大きな影響はないことがわかったということです。もうひとつは、1年前に、市が市民センターの改修計画(改修費約5億円)の提案と説明をした際、市民から、市民センターを建替えた場合は、どの位かかりますかとの質問に対して、30億円位との回答があったからです。
なお、(発表会当日に会場から)この説明は楽観的すぎるのではとの質問がありましたが、特に楽観的でも悲観的でもなく、市が策定した中期財政計画の数値に基づいて試算した結果ですので、ご了解ください。
◆ 市民センターを考えることから始まる地域づくり
代表 平井里美
「市民センターを考える市民の会」 はこの1年、150回以上の会合を持ち、公民館、図書館のあり方、市民センターの増改築をどう提案するかを議論してきました。多くの方々と出会い、協力を得て、つながりを育み、信頼関係を築いてきたのです。
価値観の違う人々が、一生懸命考え議論する中で、異なる意見を排除するようなことがないよう常に気をつけながら、一人ひとりの意見が大事にされるよう心がけてきました。
会議のあり方や、プロセスが 本当に民主的なものかどうかを、常に確認し合い、お互いがどうすれば納得できるかを問いあいながら進めてきたこと、このプロセスはとても強い信頼を私たちにもたらしてくれました。このつながり、この関わりこそが、私たち市民センターを考える市民の会が求める 「地域づくり」 なのです。
皆さん、イメージしてください。ふらっと訪れた 広場やカフェ。 音楽や本、講座から、グループやサークルが生まれ、そこから「地域」 「社会」 へと繋がっていきます。
私たちの 「市民センターの増改築の提案」 は、このぐらい増築してほしい!とか、新築してほしいとか・・・単なるスペースを広げてほしいと提案するのではなく、今後、市が増改築に当たって必要な調査をし、プロポーザルやコンペなどを行いながら、市民と専門家と行政が一緒になって、市民センターの増改築を進めていくこと。 その、お互いの顔が見える 「市民協働」 のあり方こそが、最も大事だと提案するものです。
このような市民協働は、Small is Cool. ~掌に収まる規模の狛江だからできること、他市に誇れるまちづくりなのではないでしょうか。
狛江市民憲章には 「互いに信じ、助け合い、連帯のあるまち」 「教養を高め、文化が芽生え育つまち」 と謳われていますが、市民のこうした活動によって、生きていくのだと思います。
私たちが市に提出した提案が、もっともっと広く 市民に提示された時、その時には、きょう来てくださったみなさんも ぜひ参加していただき、大いに盛り上がりましょう。
これで私たちの発表を終わります。 ご静聴ありがとうございました。
これからのことについて、何点かお知らせします。
1. 提案書の市への提出
現在、提案書をまとめております。 そのエッセンスを今日発表させていただきました。 さらに本日のご質問・ご意見を踏まえて3月中に仕上げてまいります。 このあとも、何かご意見がありましたら FAX または Eメールでお寄せいただきたいと思います。
市民の会のホームページからご記入いただけます。 締切は、提案書作成の関係から、2週間後の2月20日(土)とさせていただきます。
2. 市民の会と市との関係
市民の会は、お手元資料の
協定書 にありますように、提案を市に提出した時点で市と市民の会の協定に基づく関係は終了します。
3. そのあとは、どうするか
さきほど、冒頭にご挨拶いただいた狛江市の高橋企画財政部長さんも仰ったように、「提案してハイさよなら」では無責任でもあります。 これまでせっかく市と市民の協働で進めてきましたし、「市民センター」 はまさに市民協働にふさわしいテーマですので、提案後も市と協働していく会が必要と考えています。
3月中に提案書を市に提出する段階で、あらためて 「提出報告会」 のようなものを開く予定ですので、そのときに、提出後の市と市民協働する会について、市民の方々にご検討いただくことにします。 そのご案内は、市民の会のホームページや
e-会報 などでお知らせします。
4. さいごに
市民の会は、きょうの発表と質疑討論、2月20日までにいただくご意見などをふまえて、最終的に提案書を練り上げてまいります。 以上をもちまして、これからのことについてのお知らせとします。どうも、ありがとうございました。
(おわり)